心静かに年が明けて、心静かに新年の計を立てる。まずはめでたい新春の朝である。
ゆく年の疲れをいやしつつ、去りし日の喜びを再びかみしめている人もあろうし、あるいは過ぎし年の憂き事にしばしの感慨を覚えている人もあろう。
人はさまざま。人のさだめもその歩みもまたさまざま。さまざまななかにさまざまな計が立てられる。
そんななかでも大事なことは、ことしは去年のままではあってはならないということ。きょうは昨日のままであってはならないということ。そして明日はきょうのままではあってはならないということ。
万物は日に新た。人の営みもまた、天地のとともに日に新たでなければならない。憂き事の感慨はしばしにとどめ、去りし日の喜びは、これをさらに大きな喜びに変えよう。立ち止まってはならない。今日の営みの上に明日の工夫を、明日の工夫の上に、あさっての新たな思いを。
そんな新鮮な心を持ちつづけたい。そんな思いで、この日この朝を迎えたい。
松下幸之助「この日この朝」より
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